《トランペットヴァイン》
ノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属
〈別名〉マダムガレン
〈学名〉Campsis tagliabuana
トランペット ヴァインは19世紀にイタリアで生まれ、英国で賞をとったハイブリット(交雑種)です。
(詳しくは追記に記載しております)
京都府立植物園には、近縁種の"ノウゼンカズラ"と"アメリカノウゼンカズラ"があります。
(樹齢は40年以上)
この二つの種はトランペットヴァインの両親になります。
ノウゼンカズラ(中国原産)
〈学名〉Campsis grandiflora
長寿の木でもあります。(追記へ)
6月に満開でした。
アメリカノウゼンカズラ(北米に帰化した東南アジア原産。)
〈学名〉Campsis radicans
8月初めに満開でした。
-----*-----*-----
<ノウゼンカズラとアメリカノウゼンカズラの比較>
ノウゼンカズラとアメリカノウゼンカズラの特徴を花から順に比べて行きます。
【花のサイズ】
右がノウゼンカズラ、左がアメリカノウゼンカズラです。
トランペットヴァインはこの中間くらいの大きさと思われます。
【花の形と付き方】
・ノウゼンカズラ
ノウゼンカズラは漏斗状から別れた5花弁で、オレンジがかったピンク色です。
花弁の縁が波打っています。
内側の中心部に縞模様が見えます。
花は対生につき、萼が緑色です。
垂れ下がる茎に対生する花の姿が、人間のチャクラに似ていると思いました。
(チャクラは漏斗状のようです。)
なかには茎に密集して対生している場合もあります。
開放的な南国の花のように感じました。
・アメリカノウゼンカズラ
アメリカノウゼンカズラは、トランペットのように長い花筒と小さい5花弁が特徴です。
色は柿のようなオレンジ、筒状部分にラインがあります。
花冠が集まり枝先に咲いています。
萼はオレンジ色です。
ノウゼンカズラとは、形も色も雰囲気も異なります。
萼までオレンジに染まり、花は密集し横三方向を向いています。
香りはどの花にもありません。
満開に咲いた木を見上げると、気持ちが上昇する感じがしました。
【雄しべ雌しべ】
雄しべは長いものと短いものが2本づつ、弓のように湾曲しています。
雌しべの先は2つのヘラがくっついたように分かれています。
(アメリカノウゼンカズラ、トランペットヴァインも同じです。)
2つのヘラのような雌しべは、何かが触れると、しばらくして閉じていきます。
今回、ノウゼンカズラの雌しべに触れて実験しました。
何度か触れると、少ししてからゆっくりと閉じて行きました。
〔写真左:開いた雌しべ 右:閉じた雌しべ〕
受粉していなければ再び開くようです。
アメリカノウゼンカズラの場合は、驚くほど速く閉じました。
〔写真上:開いた雌しべ 下:閉じた雌しべ〕
この花は、4花弁でした。
ノウゼンカズラはのんびりした性格で、アメリカノウゼンカズラは生命力の強さという、違いを感じました。
アメリカノウゼンカズラの雄しべの葯が、きれいに花形になっていました。
受粉後、雌しべを残して花冠は落ちます。
秋には雌しべに鞘がつくのですが、気候が合わないのか、受粉する蜂鳥がいないからか、日本では鞘はできにくいようです。
(植物園のご担当者にお話をうかがったところ、植物園のものにはできないそうです。)
ノウゼンカズラは花が2、3日で落ち地面を彩ります。
鞘がつきにくいというお話でしたが、ノウゼンカズラの鞘を一つ見つけました!大きいです。
あっさりと花を落とす様子に、切り替えの早さ、潔さを感じます。
ノウゼンカズラの花期は長く、6月から8月の終わりにも咲いていました。満開より2ヶ月後の開花では、色が薄くなり淡いサーモンピンクになっていました。
アメリカノウゼンカズラの花色は変わらないようです。
【葉】
〔写真上:ノウゼンカズラ、下:アメリカノウゼンカズラ〕
葉は羽状複葉で奇数対生。先端に一枚あり対生に葉が並びます。縁はギザギザがあります。
まるで緑の羽のように見えます。
ノウゼンカズラの葉は丸く、厚みがあり濃い緑です。
アメリカノウゼンカズラは細めで柔らかく色も鮮やかです。
【茎】
茎は年月が経つと木のように太くなります。
たくさんの縦ジワがあります。
アメリカノウゼンカズラは、自分で自分にへばりついて、編み込み状態になっていました。
【気根】
ノウゼンカズラ属は蔓性です。
藤は物に絡み付きますが、こちらは引っ付いて登ります。
茎から粘着性のあるタワシのような"気根"を出し、あらゆる物にへばりつき這い上がります。
家にへばりつくとガラスを割ることもあります。
天を目指してどこまでも高く登り行きます。
四元素の大気(拡張性)の性質を感じます。
茎のシワ、タワシのような粘着性の気根を見ていると、土(頑固さ)の性質を感じます。
ノウゼンカズラ属は、しがみつく相手の存在を必要とします。
そこから栄養を奪うわけでなく、寄生するわけでもなく土台が欲しいのです。
もし、這い上がる物がない場合は横に伸びます。
水平軸上で成長し広がる性質は、他のモノと自分の関係がテーマになります。
自己を主張したいように感じます。
アメリカノウゼンカズラの生命力は強く、種と気根でどんどん増えます。(環境が合えば)
耐寒性もあり、北欧(デンマーク)でも育つくらいです。
ノウゼンカズラやトランペットヴァインは厳しい寒さには耐えられません。
アジアの温帯地域に生息します。
ノウゼンカズラ科のほとんどは熱帯、亜熱帯、温帯地域で生息しています。
どれも日光を必要とします。不足すると花がつきません。
初夏から真夏に赤い花を咲かせ、秋に紅葉します。
-----*-----*-----
<トランペットヴァインについて>
トランペットヴァイン"マダムガレン"は 華やかな美しい交雑種です。
ノウゼンカズラの華やかさとアメリカノウゼンカズラの活力を受け継いだ、人気の花です。
〔2007年FESインセンティブセミナーにて 撮影:箭内〕
形はアメリカノウゼンカズラに似て筒状の花冠です。萼もオレンジ色を帯びています。
花弁はノウゼンカズラに似て、華やかさがあり、花も短い茎に対生についています。
色はアメリカノウゼンカズラより赤味があるオレンジレッドです。
葉、茎、気根の性質も受け継いでいます。
Youtubeで紹介されているトランペットヴァインをじっくり観察してください。
○Youtube(静止画像)
雌しべや雄しべ、花の形がよく分かります。
○Youtube(動画)
花の付き方、葉や茎も撮影されています。
トランペットヴァインの赤みのあるオレンジの花色は、活力や生気に溢れています。
「トランペットヴァインは第2、第3チャクラのブロックに働き掛けます。生命力・バイタリティを上方へ。」
(2007年 FESインセンティブセミナーより)
哲学者アリストテレスは、植物を"逆立ちした人間"と捉えました。
つまり、栄養を摂取する人間の口は植物の根、胴体は茎、生殖器は花にあたると考えたのです。
そのように見てみると、トランペットヴァインの花冠がまとまって咲いている様子は、沢山の思いや本音が、チャクラからトランペットのように吹き出しているように感じました。
-----*-----*-----
満開のアメリカノウゼンカズラの木を見上げると、
たくさんの赤い鳥が今にも飛び立たんとし、
緑の羽を揺らし、自由に鳴いているように見えます。
木全体から強い活力を放ち、
真夏の炎天下でも青々と輝いています。
燃えるような色の花は、首を伸ばし思いを伝えたいかのようです。
植物観察担当:佐々木 編集:箭内
-----*-----*-----
〈追記〉
【トランペットヴァインの歴史】
フラワーエッセンスの花は野性種が多い中、トランペットヴァインは園芸品種です。
北米で帰化植物となったアメリカノウゼンカズラは、英国で1640年に一般的な家ではありませんが、栽培されたという記録があります。
1733年、アメリカの植物学者 ジョン・バートラムは、イングランドの園芸家ピーター・コリンソン(熱心な方だったそうです。)に、アメリカ殖民地の種子や植物を送り始めました。
その中にアメリカノウゼンカズラがあり、コリンソン氏は温室で育てたそうです。
彼のところには植物愛好家の英国人が頻繁に訪れ、コリンソン氏は植物や種子を渡したり、売ったりしていたようです。
そして1770年代半ばからヨーロッパでアメリカノウゼンカズラの人気が出て来たと思われます。
デンマークでは1780年に最初の記録がはありますが、一般的には1980年のコペンハーゲンの植物園でとなっています。
(コペンハーゲン大学より)
トランペットヴァイン
別名"マダムガレン"は、イタリアのライナテ(ミラノの近く)で生まれました。
園芸家の二人の兄弟、Alberto・linneo Tagliabue とCarlo Tagliabueが、1800年代に育てた交雑種です。
イタリアの植物学者、ロベルト・デ・ヴィジアーニ氏が、王立宮殿の庭園で見つけたようです。
数年後、英国のガーデンメリット賞にどのように繋がったか?までは調べられておりませんが、トランペットヴァインはイタリア生まれです。
【長寿の木、ノウゼンカズラ】
日本の島根県大田市に樹齢400〜500年ほどのノウゼンカズラが山のきりたった岩にしがみついて登っています。
観光名所として秋の紅葉が紹介されています。
石川県金沢市の玉泉園 には、樹齢350年以上とされる朝鮮五葉松に絡む、ノウゼンカズラが樹齢300年ほどと言われています。
【玉泉園のお話】
この庭園は脇田直堅から4代にわたり100年かけて築庭された、兼六園より古いお庭です。
脇田直堅は7歳の時、朝鮮より捕虜として日本に連れて来られ、ご縁あって、後に前田利家の正室、玉泉院に育てられることとなります。
脇田家に婿養子として入り、庭造りを始めたようです。
朝鮮五葉松は故郷を偲んでより寄せたと立て札には書いてあるようです。(ノウゼンカズラについては書かれてないようです。)
お庭は一般的公開されております。
ノウゼンカズラは老木の為、花つきは年により少ないこともあるそうです。
【学名の由来】
学名のCampsisはギリシャ語の"湾曲"が語源になっています。雄しべが弓なりの様子からです。
grandifloraは大きな花
radicansは根を生ずる(気根を出す)
tagliabuanaは作った兄弟の名字からです。
ノウゼンカズラ属は様々な園芸品種が作られています。
【漢方薬】
今はほとんど流通してないようですが、ノウゼンカズラは"紫葳(しい)"と言う漢方薬です。
花は血剤として、樹皮は利尿に使われます。
漢方薬としての成分は不明です。
また、ラパコールという天然成分が全草にあり、汁でかぶれる可能性あるようです。
木材はラパコールがあるため虫がつきにくいようです。
近年、ラパコールは副作用が出るため、医療の研究はされていないようです。