《セルフヒール》
シソ科ウツボグサ属 〈学名〉prunella Vulgaris
〈別名〉ヒールオール、コモンセルフヒール
〈和名〉セイヨウウツボグサ
〈生薬名〉夏枯草(かごそう)
まず、近縁種のウツボグサを4つご紹介いたします。
5月にプルネラ・グランディフローラ(大花靫草、大輪靫草)が咲き始め、8月初めまで花を見ることができます。
<学名> prunella grandiflora subsp. grandiflora
[セルフヒールより花が大きいウツボグサで、ヨーロッパ、コーカサス原産です。]
6月にはタテヤマウツボグサとウツボグサが咲きます。
立山靫草
<学名> prunella prunelliformis (Maxim.)Makino
[日本固有種の高山植物です。薬用には使用できません。]
靫草
<学名> prunella Vulgaris L. subsp. asiatica (Nakai)H.Hara
[アジアに分布するセルフヒールの亜種。薬草です。]
園芸品種の金賞受賞のハイブリットのウツボグサも大きめです。
[白は、学名 prunella grandifloraで、フリーランダーミックスシリーズの白という園芸品種です。
紫はprunella grandifloraのフリーランダーブルーです。 ]
園芸品種は雌しべが蛇の舌のように飛び出し、雄しべも見えるくらい口の開きが大きいようです。
花はどれもよく似ています。大きさ、生育地、花穂、葉、茎などに違いがあります。
セルフヒールは、FESではシソ科で一番基本となるエッセンスと言われています。
シソ科のフラワーエッセンスは、ペパーミント、セージ、ローズマリー、バジル、ラベンダー、ヒソップです。
セルフヒールからシソ科植物の共通点が感じられると思います。
茎はまっすぐ伸び、断面は四角です。
葉は十字対生。
これらはシソ科の特徴です。
[プルネラ・グランディフローラの茎]
[上ー園芸品種、左ーウツボグサ、右ーグランディフローラ]
葉は全体的に細かい毛で覆われています。
セルフヒールの開花は初夏です。
花穂は角ばった円柱形で、花は螺旋状に下から上へと咲いていきます。
開花が進むと花穂は伸びて長くなります。
花が終わると花穂は茶色く枯れたような姿になります。
花はシソ科の特徴の口のような形です。
紫色の筒状花の先は上下に分かれています。
これを「唇形花(シンケイカ)」と言い、上唇は2枚の花弁が融合し兜状になり、下唇は3枚が融合し、中央が飛び出し、左右の先端にはヒダがあります。
5枚の花弁は左右対象です。
[グランディフローラの花と園芸品種の蕾]
葉や茎の規則的な構造と比べると、花は動物的に見えます。
雄しべ雌しべは上唇のすぐ下にあります。
雌しべの先端はY字、付け根には子房があり4室です。(種4つになります)
雄しべは4本、長いものと短いものがあります。
[グランディフローラと園芸品種]
蜂が蜜を吸いに花の奥に潜り込む時、背中が当たり受粉します。
ご参考までに、生態学の博士のサイトにシソ科の写真がありましたのでご紹介いたします。
*福岡教育大学教授 福原達人博士のサイト
シソ科の唇形花
https://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/shisoka.html
シソ科-5番目、ウツボグサ
https://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/shisoka2.html
湿地を好み、半日陰を好みますが、多少の乾燥に強く、ミント並みの匍匐性で横に広がります。
寒さに強く、日本の高温多湿は苦手です。
シソ科の植物の特徴に、精油(芳香成分)を含むことが挙げられます。
"オイルは火の要素です”(2007年FESインテンシブセミナーより)
精油といえば、ラベンダーなどの香りが代表的です。
シソ科のFESフラワーエッセンス達は、どれも香ります。
しかし、セルフヒールは微量にd-カンファーなどの精油成分を含みますが、香りません。
香りは虫から身を守る手段でもあります。
香りで防御しないセルフヒールの葉は、バッタに食べられてしまいます。
特にかかりやすい病気はなく、ハダニがついても重症化しませんが、ストレスになる環境とバッタには弱いようです。
薬草として、ヨーロッパではローマ時代から、中国や日本でも生薬として古くから使われています。
詳しくは追記をお読みください。
セルフヒールの姿は、人が立っているように見えます。
花穂は枯れたかのようでも、葉は青々としています。
その花穂は、薬として人間を助けてくれます。
その強さは、ヤローのように他の植物も守るわけではなく、虫から身を守ることもせず、ただ自分の強さを信じて生きようと言っているようです。
植物観察担当:佐々木 編集:箭内
《追記》
◆フラワーエッセンスとしての特徴
◇シソ科のフラワーエッセンスは、身体と頭の整合を助ける
◇セルフヒール
・どういうヒーリングが必要か、身体が魂に問いかける。
・身体に近いエーテル体に働くので、身体がすぐに癒される。
・感情的にも自分の治癒力を信じられる助けになる。
(2007年FESインセンティブセミナーより)
◆化学成分
・トリテルペノイド(苦味成分)
ウルソール酸(シワ改善、癌細胞抑制、筋肉収縮防止)
オレアノール酸(アンチエイジングなど)
・サポニン:プルネリン(抗HIV成分として研究されている)
・ポリフェノール
ロスマリン酸 (シソ科タンニンとも呼ばれます) (抗ウイルス、抗アレルギー、抗酸化、抗炎症作用)
フラボノイド:ヒペロシド(血圧降下作用、コレステロール値低下作用)、ルチン(抗酸化作用、コレステロール値低下作用。蕎麦に多い)、ハイポシド(血管の弾力性を高める。ホーソーンに多い)、デルフィニジン(植物色素・青)
・塩化カリウム (利尿)
・d-カンファー
・フェンコン
など。
d-カンファーとフェンコンは、清涼感のある芳香成分(精油)です。
セルフヒールには微量にしか含まれておらず、人間が香りを感じる程ではありません。
現在もセルフヒールの薬効性は、AIDS、癌、ヘルペス、歯周病、糖尿病、肝機能、などに効果的という研究結果があげられています。
◆夏枯草(英名prunella spike,ラテン名prunellae spica)
生薬として、中国の古典薬草の本に書かれています。全草を使っていましたが、今は花穂のようです。
夏枯草は、他にアシュガ(ジュウニヒトエ)の場合もあったようです。
ウツボグサは日本では厚生労働省の通達により食品としては使用できず、生薬のみです。
*養命酒 元気通信 生薬百選 "夏枯草"
https://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/crude/080627
民間療法では、煎液を口内炎や扁桃炎にうがい薬としても用いられます。
*ウツボグサ-額田医学生物学研究所
薬草としては、ローマ時代から喉の炎症に使われていました。
ヨーロッパでは葉をサラダにします。苦味があるので動物はあまり食べないようです。
ハーブティーや軟膏が海外では使用されています。
ただ、薬効成分が強いので口に入れる場合は専門家の元で使用するのがよいでしょう。
◆世界にどれくらいの品種があるのか調べたところ、かなりあるようです。
日本人に発見されたもの、日本で見られるものが現在10種以上はありそうです。
ウツボグサ属はハイブリットができやすいことと、同義語が多い為、正確な数はお伝えできません。
花の色はピンクや白の品種もあります。
"エロンガータ"、"ピレナイカ"(葉が羽状)や"ラシニアータ"など、多数の品種があります。
日本でも、正式な学名を登録するのに苦労されているようです。
イタリア版ウィキペディアは、セルフヒールについての記載内容が充実しています。ローマ時代からの薬草治療の歴史が伺えます。。
イタリア版ウィキペディア-Prunella Vulgaris
https://it.m.wikipedia.org/wiki/Prunella_vulgaris
南アフリカにも分布しているようです。
他のサイトでは南イギリスでは、開花期間が12月までと書かれていました。
学名に関しては幾つかの説があります。
カール・リンネウスが名付けた際、ドイツ語の喉の病気「Quinsy」の訳を間違えてしまったという説や、ドイツ語の扁桃腺「brunella」に由来するという説があります。
ヨーロッパではローマ時代の医者、〔ペダニウス・ディオスコリデスが腫れた喉の形と花穂が似ていることから、薬として使った〕のが初めのようです。(養命酒元気通信より)
Vulgarisは普通のという意味のラテン語です。