植物探訪記 バックフラワーエッセンスの樹木

 

以前、フラワーエッセンスの植物を見つける中での、植物園職員さんとのやり取りが面白い!と言うご意見を頂きました。

そこで、今回から花とあわせてご紹介していこうと思います。

 

京都府立植物園にない(近縁種も含め)バックフラワーエッセンスの樹木を求めて、大阪市立大学理学部附属植物園(http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/biol/botan/へ行ってまいりました。

 

上級講座の植物観察でホワイトチェスナットなどを見に行かれた方もいらっしゃるでしょう。

 

〈受付事務所と休憩棟〉

 

初の探索の為、5時間と考え10時30分には私市駅に到着しました。閉園は4時30分です。

 

植物園の受付でバックフラワーエッセンスの名前と学名をすべて記入した紙を見ながら、特定の樹木を探していることを伝えると、調べてくださいました。

 

存在するものの場所と個体番号をひかえて地図を見ながら探しました。

午後からは職員さんのツアーガイドにも参加し、その後の人けの少なくなった園内を周りました。

 

〈大寒桜〉

 

閉園30分前を記って、一番奥にあると聞いたホワイトチェスナットを地図と木のネームプレートを確認しながら探しましたが、みつかりません。

〈ハルニレ〉

 

更に奥の住宅街近くまで行くとトチノキはありましたが、見つかりません。

もしかして、立ち入り禁止区域内に?

 

昨年の台風21号で倒木の為、山の半分以上、甲子園球場6個分が未だ立ち入り禁止となっています。

 

白いロープの向こうには車や作業車が止まっています。

 

そこへ水色の作業服を着た職員らしき人が歩いているではありませんか、思いきって声をかけました。

 

「すみません、木を探しているのですが見つからないんです。西洋トチノキなんですが、この辺りにあると聞いたのですが・・・」

 

『ここには〜ないですよ。ユーラシア区です。』

「えっ!!」

「そうなんですか?そのユーラシア区もわからなくて、駐車場の横ですよね?

どういったらよいのかわからなくて、駐車場の側の小道を山へ上がってみたりしたのですが・・・」

『車で案内しますので。ちょっとまっててください。』

 

職員の方は白いロープを持ち上げて器用に軽トラックをくぐらせ、私は助手席に乗り込みました。

 

「申し訳ないです。ありがとうございます。」

『熱心なんですね。』

「植物の記事を書いているので調べているんです。」

 

近くに車を停めて、案内された場所は、午前中に来たチェリープラムやオークがある山の中でした。

 

 

「ここだったのですか!ここ北米区ではないんですか?」

『向こうが北米でここがユーラシアです。』

 

ついて行くと一番奥に2本、ホワイトチェスナットの木がそびえていました。とても高いです。

葉もない枝と幹だけの姿です。

〈ホワイトチェスナット〉

 

上級クラスの方たちはこれを見たのかー。

 

「あの、ホーンビームは・・どこでしょう?」

少し戻って木に手を当て、

『これです。』

「ネームプレート、ないですね。」

『そうですね。でも、これです。』

「花はまだまだですね。」

『いや、4月になればあっという間に咲きますよ。こちらにはオークがありますよ。』

 

隣がイギリスナラ(オウシュウナラ)、オークでした。

〈オウシュウナラ〉

 

〈冬芽〉

 

「はい。あの、ミロバランスモモのネームプレートのついた大きな木の後ろの小さな木も、ミロバランスモモですか?」

(チェリープラムの和名はミロバランスモモです。)

〈ミロバランスモモ〉


〈ミロバランスモモの花〉

 

『そうです・・ね。同じ木です。』

私のリストを見た職員さんは、

『エルムはあれですよ。オウシュウハルニレと呼ばれる、エルムはあれです。』

オウシュウハルニレ〉

 

「そうなんですか!」

しかし、バックのエルムはオウシュウニレです。近縁種でした。

 

「あのー、ビーチがあると聞いたのですが、Fagus sylvaticaです。どこでしょう。」

『それは〜・・ないです。』

「ないんですか?」

『よく調べたらどうも違うということで、ないんです。』

「では日本のブナだけなんですね。」

 

こうして、探索は終了。

 

「閉園前ににお手数とらせて申し訳ありません、ありがとうございました。」

『閉園間際だったのでちょっとあせりました。』

 

閉園の10分前。親切な職員さんとお別れし、ユーラシア区に戻りました。

ミロバランスモモの元へ行きますと、午前中に蕾だった花がいくつか開いていました。

今回、98%つぼみだったので残念でした。満開なら大変美しいと思います。

 

ミロバランスモモ〉

 

樹木専門の植物園の職員さんは詳しく、その上親切でほんとうに助かりました。

 

こうして5時間の探索でユーラシア区がバックフラワーエッセンスの樹木が集まった夢のような場所とわかりました。

ちなみに、そこにはライラックもあります。

 

次回はツアーガイドの前半カタクリと後半の梅と桜と、チェリーのお話です。

 

 植物観察担当:佐々木 編集:箭内