-----お知らせ-----
7/16(祝)AMに「フラワーエッセンス未来会議in大阪」を開催します。
詳細は7/12付のブログをご覧ください。
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《ダクウッド》
ミズキ科ミズキ属
〈別名〉「Pacific dogwood」パシフィック ダクウッド
〈和名〉ハナミズキ(太平洋の)
アメリカ西海岸原産です。
日本で4月に開花しているハナミズキは、"アメリカヤマボウシ"とよばれる、
別名 「flowering dogwood」
アメリカ東海岸原産種です。
ハナミズキ(アメリカヤマボウシ)
西と東のハイブリッド(掛け合わせた)品種もあります。
5月に咲いていたのは"ヤマボウシ"(山法師)
別名「 Japanese floweringdogwood」,「 Kousa dogwood」
日本原産種です。
ヤマボウシ
6月にも咲いているのは中国原産のヒマラヤヤマボウシです。
ヒマラヤヤマボウシ
ほかにも、ヤエヤマボウシ(中国原産)や、園芸品種の源平など多くの種類があります。
ここからの説明では、ハンドブックのものはダクウッド、東海岸のものはハナミズキ、日本のものはヤマボウシとさせていただきます。
花についてです。
白く花弁に見えるのは"総苞"です。
花は中央に集まって咲いています。
黄緑色、クリーム色の4弁の花。
雄しべ4本、中央に雌しべがあります。
写真、左はハナミズキのつぼみ
右がヤマボウシの花です。
ダクウッドはハナミズキと同じく花一つ一つが離れています。
実になった時、ヤマボウシとの違いがはっきりわかります。
上がハナミズキの実(集合果)
左がヤマボウシの実(複合果)
右がヒマラヤヤマボウシの実(複合果)です。
この違いについては《追記》に記載しております。
今はまだ緑ですが、秋には赤くなります。
白い総苞に違いがあります。
ハナミズキとヤマボウシは4枚に対して、
ダクウッドは4〜8枚です。
ハナミズキだけ、先にくぼんだ切れ込みがあります。
ヤマボウシとダクウッドにはありません。
以下のサイトではハナミズキとダクウッドの比較と、ダクウッドのことが載っています。ぜひご覧ください。
Cornus nuttallii 風景植物| オレゴン州立大学
https://landscapeplants.oregonstate.edu/plants/cornus-nuttallii
ダクウッドは硬い木質です。
家具や道具の持ち手などに利用されました。
タンニンが豊富で樹皮は薬や、染料にも使われたそうです。
ダクウッドやハナミズキ、ヤマボウシの花は天に向かって開いています。
ダクウッドの雰囲気はヤマボウシに近いと感じます。
ヤマボウシの総苞を丸くして枚数を増やしたのを想像してください。
前向きで、穏やかなやさしい雰囲気を花に感じます。
その花を咲かせる枝は鋭く硬いのです。
実の形状は、ヤマボウシの実に近づこうと進化しているように感じます。
世界の2つの「Cornus」グループを調和した花に思いました。
《追記》
*学名の"Cornas"はラテン語で角のような突起物。
ダクウッドの材質の強くて硬い様子を表しています。
"nutallii"はイギリスの植物学者(鳥類学者でもある)トーマス・ナットル氏の名前をつけています。
彼が収集したものには"nutt"がつけられ、「ラークスパー」も彼が見つけた植物です。
*北アメリカ大陸のハナミズキグループと、ユーラシア大陸(日本含む)のヤマボウシグループでは実に違いがあります。
ハナミズキグループは"集合果"と言う、一つ一つ別れた実が集まっているのは、
鳥での種子分散によります。
鳥は4色識別できます。(紫外線領域が見える)
艶のある赤い実になっています。
ヤマボウシグループは、複合果で、イチゴのように一つに固まった実です。
猿による繁殖の為に進化しました。
オナガザル科のマカク属(ニホンザルも含まれる属)は人間と同じ3色型色覚です。
赤を識別できます。
最初は同じでしたが、500万年前から長い年月をかけて進化したと言われています。
アメリカ大陸の猿はハナミズキの分布域とは生息域が異なった事と2色型色覚の為赤が判別できず、進化しなかったようです。
(米国スミソニアン研究所 リチャード・H・アイド氏の論文)
ハナミズキの実は渋くて食べられませんが、ヤマボウシはシャリシャリと甘く食べられるそうです。
植物観察担当:佐々木