《スイートチェスナット》
ブナ科クリ属
〈和名〉西洋栗・ヨーロッパ栗
ヨーロッパ南東部・バルカン半島あたりが原産で、耐寒性があり、長寿です。
食用として古代ローマ時代から広まり、日本では縄文時代から食べられてきました。
2年前に植樹された若い木は花の観察が近くでできました。
5月末のフワフワの雄花穂です。たくさんの小さな花が集まっています。
栗の花は単性花で、雄しべ、雌しべが別れます。
単花被花で、花弁に似た萼としべの花です。
この時、雌花はまだ目立たない状態で、見逃していました。
12日後の雌花の姿です。
雌花の真ん中に雌しべが見えます。周りの緑のトゲトゲがイガになる部分です。
受粉は虫によります。
雄花穂にはたくさんの蟻や、蜂も来ました。
近くに栗の木はなかったのですが(自家不結実性)、18日後には小さなイガが2つ育っていました。
"ぽろたん"という渋皮までポロリと剥ける栗の木。
イガに変化した雌花。
葉は表は艶があり、裏はざらっとして白っぽいです。
風にゆらぐやさしい雰囲気の雄花穂と、トゲの鎧をまとった雌花がペアのスイートチェスナットでした。
植物観察担当 佐々木
《追記》
*栗の雄花は前年の夏に、雌花は今年の春にできはじめます。
雌花はすべての雄花穂の基部にできるわけではありません。
今年新しくできた枝に、1〜4個づつ着生しますが、栄養が十分で、剪定が適切などの条件が揃う必要があります。
(雌花がついた雄花穂を"帯雌花穂"とい呼びます。)
*自家不結実性は、結実するには別の品種の花粉が必要です。
*ヨーロッパやアメリカの栗は日本の風土では、病気や害虫に対抗できず育たないようです。
中国の栗も受粉や害虫の問題があるようですが、近年では品種改良された中国栗が育っているようです。
*樹齢100年の栗の木がイギリスや中央、南ヨーロッパでは見られるようです。
*栗はタンニンが多く、葉やイガなどが民間療法に用いられます。
*硬い材質です。
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若狹 昇 (日曜日, 29 7月 2018 21:11)
よく観察されて、写真もわかりやすいので理解しやすいです。勉強になりました。
ありがとうございます。